デリバリー特化の飲食店「ゴーストレストラン」の出店・運営
近年、コロナウイルスの影響やデリバリーサービスの普及により、外食産業では、テイクアウトやデリバリーの利用者が増加しています。こういったライフスタイルや業界の変化から、ひとつの店舗で複数のデリバリー専門ブランドやメニューを取り扱う、ゴーストレストランと呼ばれる事業が生まれています。この記事では、ゴーストレストランの出店や運営について解説します。
■10秒でわかる!この記事の内容
・ゴーストレストランは、キッチンスペースのみでデリバリーに特化した「飲食店」。
・ひとつのキッチンで、複数ブランドの飲食店運営が可能。
・立地の影響が少なく、初期費用も実店舗の1/10程度からスタートできる。
ゴーストレストランとは
ゴーストレストランとは、キッチンスペースのみで、デリバリーに特化した業態を扱う「飲食店」のことを指します。Uber Eatsや出前館などのフードデリバリープラットフォームに、和食専門店・中華専門店・タイ料理専門店など複数の業態をそれぞれ異なるお店として出店し、異なるニーズのお客様から注文をいただきます。配達は、フードデリバリー事業者に配達代行に依頼する方法と、自社配達があります。
ゴーストレストランとクラウドキッチンの違い
ゴーストレストランと似た、クラウドキッチンという言葉を耳にすることがあります。ゴーストレストランとクラウドキッチン違いについて説明していきます。
●ゴーストレストラン
ゴーストレストランは、デリバリーに特化した「飲食店」のことです。ゴーストレストラン運営者は、デリバリーに特化した飲食店をUber Eatsや出前館などのサービスに出店します。
●クラウドキッチン
クラウドキッチンとは、ゴーストレストランに特化したキッチンを複数所有する「不動産業」のことです。クラウドキッチン事業者の収益は、ゴーストレストランを運営するテナントから得る家賃の収益になります。運営会社によっては、売上UPのための知見をテナントに共有し、売上に連動して手数料をとる形もあります。
ゴーストレストランをやっているはどんな人
どのような人が、ゴーストレストランを運営しているか紹介していきます。
●【飲食オーナー】実店舗+ゴーストレストランを運営
飲食店の売り上げは、実店舗の大きさ(席数)や商圏により制限されます。実店舗の売上最大化のため、飲食店のキッチンと人員を活用し、ゴーストレストランを運営します。
●【新規事業】ゴーストレストランを運営
飲食店を運営している会社や独立した人が新規開業で物件を取得したり、クラウドキッチンに入居して、ゴーストレストランを運営します。
●【業態転換】実店舗をゴーストレストランに転換し運営
飲食オーナーが売上の低迷などの要因で、運営している飲食店をゴーストレストランに転換し、撤退せずに不動産を有効利用しながら運営します。昼間や夜間、定休日などの営業していない時間帯や期間だけ、実店舗を他の飲食店に貸し出すケースもあります。
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ゴーストレストランを運営するメリット・デメリット
デリバリーに特化した、ゴーストレストラン運営のメリット・デメリットを見ていきましょう。
●メリット1:初期費用・固定費が安い
ゴーストレストランと飲食店を新規出店する際の費用を比較すると、
・一般的な飲食店の出店費用:1,000万円~
・ゴーストレストランの出店費用:100万円~
ゴーストレストランは、デリバリーに特化しているため、イートイン営業は行いません。客席も必要ないため、店舗内装への投資を最低限に抑えられます。物件取得費用は、不動産によって大きく変わりますが、居抜き物件を活用したりクラウドキッチンに入居すれば、最低100万円程度の予算でゴーストレストランを運営することが可能です。
●メリット2:1拠点で複数のゴーストレストランを運営できる
ゴーストレストランはイートイン営業をしないため、ひとつキッチンで複数の業態を運営することができます。複数の業態を運営することで複数の収益源を得ることができ、売上低下のリスクを抑えることができます。具体的にはラーメン屋とハンバーガー屋と中華料理屋とカレー屋を、ひとつキッチンで営業するということも可能ということになります。
●メリット3:立地の影響が比較的少ない
従来の飲食店では、売上は立地に大きく影響されており、売上をあげるためには人通りが多い一等立地に、店を構えることが重要でした。しかしゴーストレストランは、ターゲットとなる注文者が配達エリア内にいれば、二等三等立地の物件でも十分売上をあげることが可能です。
●メリット4:経験が少なくても開業できる
クラウドキッチンやゴーストレストラン運営会社で開業する場合、運営会社に様々なノウハウがあります。デリバリー専用のメニュー開発や販売促進などのサポートが受けられます。複数の運営者が集まるクラウドキッチンでは、お互いに意見交換できるのも特徴のひとつです。
●デメリット1:デリバリー専用メニューの開発
Uber Eatsや出前館で売る業態と、実店舗で売れる業態には乖離があります。例えば、実店舗で出店が激化している唐揚げ業態は、Uber Eatsの商圏3km以内に大量の店舗が出店されており、その中で売上を得ることは至難の技です。一方、ニッチで実店舗の少ないエスニック業態は、直営店舗で100万円/月以上売り上げています。こういったニーズを探るため、市場調査や新業態を開発しトライアンドエラーを繰り返し、売れる業態を把握する必要があります。
●デメリット2:デリバリープラットホームの手数料
ゴーストレストラン運営者がデリバリープラットホームへ支払う手数料は、売上の約35~40%となります。そのため、商品自体の価格を上げなければ利益が出ません。注文するユーザーは、配達手数料もかかります。提供するエリアの競合他社商品や価格を分析した、価格設定が必要です。
●デメリット3:天候と配達員に左右される
雨などの悪天候で外出を控えたい時ほど、デリバリーを頼みたいものです。Uber Eatsや出前館などのデリバリープラットホームでは、自転車やバイクで配達するため、悪天候の際に配達員が近くにいないことがあり、需要が多いにもかかわらず、対応できないことがあります。
ゴーストレストランで違法にならないための注意点
ゴーストレストランについて最近、「違法すれすれの状態なのではないか」と指摘されることがありますが、この認識は正しくありません。客席を持たずデリバリー専門の飲食店であるゴーストレストランは、飲食店営業許可証があれば、法律に触れることなく営業することができます。また、客席がある飲食店がデリバリーを始めても、すでに飲食店営業許可証があれば、その他に行政機関から許可を得る必要はありません。ただ「違法すれすれ」という指摘は、あながち的外れでない部分もあるようです。詳しくは、エックスキッチンのサイト「ゴーストレストランで違法にならないための注意点を解説」(外部リンク)で詳しく解説されています。
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この記事のまとめ
ゴーストレストランについて解説しました。新型コロナウイルスの影響により、実店舗メインで運営している飲食店は大きな打撃を受けました。また、ライフスタイルの変化により、デリバリーサービスの利用も増えています。通常の飲食店開業や運営と違い、初期費用や人件費などを抑えることができるゴーストレストラン。新しい出店方法や空き店舗の活用方法として検討してみてはいかがでしょうか。新規事業や業態転換でゴーストレストラン運営をお考えの事業者様、飲食店の空き物件を所有のオーナー様など、店舗ネットワークでは、ゴーストレストランFCの「X Kitchen(エックスキッチン)」のご案内も行っております。お気軽にご相談ください。地域密着の不動産会社が、出店や空き物件の活用方法をサポートいたします。
店舗ネットワークでは、独自の情報網により、多数の出店情報を保有しております。空き店舗・空きテナントでお困りのオーナー様と出店希望者を、店舗のプロがサポートします。お気軽にご相談ください。
著:店舗ネットワーク本部