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施行直前!テナント物件オーナーのインボイス制度対応 – 【店舗ネットワーク】
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施行直前!テナント物件オーナーのインボイス制度対応

令和5年(2023年)10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには、所轄の税務署へ申請書を提出し、登録を受ける必要があります。今回は、テナント物件を保有するオーナー様が必要な対応や影響についてご説明します。

■10秒でわかる!この記事の内容
・登録の要否についての最終的な判断は、税務署や税理士などに確認のうえ余裕をもって対応する。
・インボイス制度は、賃借人が賃貸人に賃料等を支払う際、支払った金額に含まれる消費税額を正確に把握して、仕入税額控除に反映させることが目的。
・取引相手である賃借人(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません。
・インボイスとして必要な記載事項は、1つの書類で全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たしてもよい。

各地の税務署では、適格請求書(インボイス)発行事業者登録要否に関するご相談をいただける相談会を順次開催しています。登録の要否についての最終的な判断は、必要に応じ、税務署や税理士などに確認のうえ、ご対応をお願いします。また、忙しい方や、税務署への訪問が難しい方向けに、国税庁がインボイス説明会をオンラインで開催しています。
→国税庁サイトはこちら(外部リンク)

そもそもインボイス制度って何のため?

インボイス制度は、事業用賃貸借においては、賃借人(事務所や店舗を借りて営業するテナント)が賃貸人(物件オーナー)に賃料等を支払う際、支払った金額に含まれる消費税額を正確に把握して、仕入税額控除に反映させることが目的となっています。

●適格請求書(インボイス)とは?
賃貸人が賃借人に対して、正確な適用税率や消費税額などを伝えるものです。具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

●何をしなければならない?
<賃貸人側>
賃貸人が登録事業者になった場合は、取引相手である賃借人(課税事業者)から求められたときは、インボイス(※)を交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。

<賃借人側>
賃借人は仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、登録事業者である賃貸人から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。

(※)ここで言うインボイスは、「請求書」に限りません。賃貸借取引のように、必ずしも毎月請求書を発行しない取引では、例えば、記載事項の一部(例えば、支払日以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(支払日の事実を示すもの)を併せて保存することにより、仕⼊税額控除の要件を満たすこともできます。インボイスとして必要な記載事項は、1つの書類で全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たしてもよいということです。

インボイスの登録が必要な物件オーナー(賃貸人)

賃貸人がインボイスを登録申請すべきかは、課税売上の有無や、賃貸人・賃借人双方の消費税の状況によって異なります。今まで消費税の申告をしていなかった免税事業者こそ、登録申請をするかどうか、しっかりと検討する必要がありますので、ご注意ください。

※事業者(個⼈・法⼈)には、消費税の納税義務のある課税事業者と、納税義務のない免税事業者とがあり、基準期間(2年前⼜は2期前)の課税売上が1,000万円を超えると課税事業者、1,000万円以下であれば免税事業者となります。

課税売上がある賃貸人が取るべき選択肢は、以下3つのケースに分けることができます。

●賃貸人が課税事業者の場合
基本的にインボイスの登録をします。

●賃貸人が免税事業者で賃借人が免税事業者の場合
賃貸人に課税売上があっても、賃借人がインボイスを必要としないため、賃貸人はインボイスの登録が不要です。ただし、賃借人が免税事業者もしくは簡易課税を適用する課税事業者であることを、賃貸人は確認する必要があります。

●賃貸人が免税事業者で、賃借人が課税事業者(原則課税)の場合
賃借人がインボイスを必要としますので、要検討です。

インボイス登録をした場合・しなかった場合の影響

●賃貸人がインボイスの登録をした場合
・賃貸人は課税事業者となり、消費税の負担が増える可能性があります。ただし簡易課税の選択により、不動産業のみなし仕⼊率40%の適用をすることもできます。
・さらに、小規模事業者向けの特例として、免税事業者が課税事業者を選択した場合、納税額を売上税額の2割に軽減する措置が3年間実施されることになりました。
・この特例を利用した場合、簡易課税と比較して、事務負担・負担金額ともにも大幅に軽減されることとなります。
・賃貸人は、消費税申告のための⼿間と費用がかかります。

●賃貸人がインボイスの登録をしなかった場合
・賃借人(原則課税の課税事業者)の消費税の計算上、「仕⼊税額控除」が受けられず、賃借人はその分多くの消費税を負担することになります。
・ただし、経過措置により、賃貸人が免税事業者のままであっても、インボイス制度施行後3年間は、仕入税額相当額の80%、その後の3年間は50%を、賃借人は控除可能とされています。
・賃借人が、インボイスを交付してもらえる他の物件へ転出する可能性が生じます。

インボイスへの記載事項

インボイスの様式は、特に法令等で定められていません。インボイスとして必要な事項が記載された書類(請求書・領収書等)であれば、その名称を問わず、⼿書きであってもインボイスに該当します。

  1. 適格請求書発⾏事業者の⽒名⼜は名称及び登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き⼜は税込み)及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の⽒名⼜は名称

不動産の賃貸借契約において、通常は毎月の賃料支払時に請求書や領収書の発⾏を⾏っていませんが、この点、インボイスは一定期間の取引をまとめて交付することもできます。また、インボイスとして必要な記載事項は、1の書類に全てが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類でインボイスの要件を満たすことになります。

※インボイス制度導⼊以前(令和5年9月30⽇以前)からの賃貸借契約については、既存の契約書を生かして、インボイスの記載事項が不⾜している項目(例えばインボイス登録番号)の通知を賃貸人から賃借人へ行い、契約書とともに保存するなどの対応が考えられます。

以上のように、インボイス制度の施行によってテナント物件の賃貸人・賃借人は様々な影響を受ける可能性があります。税務署や税理士、不動産業者とよく相談のうえ、対応を行っていただくようお願いいたします。

インボイス制度に関する国税庁の情報サイト

著:店舗ネットワーク本部

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